オリジナルかんざしの製作裏話 その1
2008年 03月 16日
お客様がお見えになりました。
そのご依頼の内容は、2種類ありました。
1つはパーツを持参されて、これに金属製のかんざしの足を付けて欲しいと
いうもの。
もう1つはデザインのイメージをお持ちになってきて、こういうものを作って欲しいと
いうものです。
まあ後者の方はデザインを私がやり、実際の製作は職人さんにお任せするという
ことになるので、デザインの修正や確認の連絡までが私の仕事になります。既に
お客様の方から具体的なイメージが提示されていますので、あとはきちんとした
設計図みたいなものにすればいいだけなんですけども。
で、前者のパーツの方なんですが…こっちがちょっと誤算でした。
持ち込まれたものは球状で中に穴が貫通している、大きいビーズのようなものでした。
で、これに金属の足と耳掻きを付けて玉かんざし風にして欲しいということなんです。
ところで、ウチには玉かんざし用の足だけというのが常時あるんですよ。
だからこれを使って接着して組み立てるだけ、というだけなのです。
正直、こっちは簡単にできるだろうと軽く引き受けておりました。
↓かんざし金属足パーツ(11センチ、13センチ、15センチ、17センチの4タイプあり
色は左からシルバー、ゴールド古美、シルバー古美の3色)
実際にはパーツに開いている穴がやや狭くて、少しやすりで広げるという工程は
ありましたが、そんなに手間ではなかったので、お預かりしたその日の夜までには
もう仮組み立てまで終えてしまいました。
ただ、接着してしまうともう変更はできないので、一応こちらもご確認を、と写真に
撮ってメールで送ってたんですね。
ところが、返事が来たらやや変更点が!
2.5センチ位ある耳かき部分を1.5センチ位に短くして欲しいですと…。むむう。
その前にこの足の材料についてご説明させていただきます。
玉かんざし用の足は、髪に挿す足の部分と、耳掻きの部分の2個のパーツから
なっています。足の方には玉の中に通して芯となる棒があります。耳かき部分の
パーツは根本がパイプ状になってまして、足の方の棒を玉に通したあと、突き出た
ところへキャップ状に被せて接着してしまうんです。
これで玉かんざしの出来上がりという訳なのですが、ここで難問が。
耳かき部分は全体で約2.5センチの長さですが、パイプ状になっている部分は実は
1センチもなくて、6~7ミリくらいしか無いんです。
それを1センチ短くするということは、パイプ部分が無くなってしまいますから接着が
出来なくなっちゃうわけです。どうしてもと言うなら、もう新規に作るしかありません。
でもそうするとコストが…。
そこで今回は裏技を使いました。
つまり、耳掻きの方もぎりぎりまで短くしますが、それだけではまだ長いので
玉の方に少し埋め込んでしまおうという訳です。
幸い今回お客様が持ち込まれた玉はプラスティック樹脂製で、ガラス製と違って
まだ加工ができるのです。
で、むりくりにルーターで穴を広げ、5ミリほど埋め込めるようにしました。
耳かきパーツを5ミリカットし、玉の方に5ミリ埋め込めば、合計1センチ短くできると
いうわけです。
いやー、言うは易しですが行うは面白い、ってな感じです。
パイプ状のものをカットすると、多少口がすぼまってしまうので気をつけながら口を
広げたり、それでもきちんとした広さにならないので、差しこむ方の棒の先端を削って
差しこめるようにしたり、玉の方の穴を広げる作業も、注意しないと中心からずれて
しまいます。玉の中でホンの2ミリほどは差し込めるはずなので、長さに注意しつつ
カットして…等々を繰り返し、何とかいい感じに出来上がってきました。
いやー、やればできるじゃん、でな感じだったんですが…
あ!これ2個作るんだっけ。
同じことをもう1個か…。
ええ、やりましたとも。手が覚えているうちにやっちゃった方が早いんで。
職人さんの苦労がわかるわ…。