「かんざしと笄(こうがい)って違うの?」
2009年 02月 01日
「かんざしと笄(こうがい)って違うの?」と尋ねられました。
(先日も似たような始まり方のテキストをUPしたような…)
さて、こちらも結論から言ってしまうと、
「もともと違うものですが、似たような使い方に変化したものです」
ということになります。
発祥が異なりますし、似たような使い方をするようになってからも
本来の使用方法のままのものも存在しているので、笄をかんざしの
一種と言ってしまうと正確では無いからですね…。
そもそも、かんざしと笄はその用途が異なるものでした。
笄は髪をまとめる為の道具だったのです。
対してかんざしとは一般的に言って髪に飾るものです。
ですので当初は存在理由自体が異なっていたのです。
日本刀の拵え(こしらえ)をよく見ると、柄(つか)のところに小刀と
もうひとつ、笄が備わっているものがあります。これは男性も髪を
まとめる為に笄を使っていたという証でもある訳ですが、当然女性の
必需品でもありました。
形状は細長い一本の棒で、一方の端が太く、反対側の端に向かって
細くなっているというものです。
ところが、髪をまとめる道具だったものが、次第に髪に飾られるように
なっていったのは江戸時代中期頃~です。
当初はちょっと奇をてらったというか、道具をそのまま髪飾りとして
使うという、変わった使い方の一例だったのでしょう。
これは今流行りの「一本足のかんざしだけでまとめ髪を作る」という
ものと同じと言えます。
あれは西洋のスティックの使い方なのですが、かつては日本でも同様の
使い方の時期があったのですね。
その後、髪型に様々な種類ができていくと、笄も髪型に合わせて次第に
変形してゆきます。
髪飾りとして使うために両端の太さは同じになり、中央はやや細くなります。
これは頭の後ろでまげを作ったとき、その根元に挿して左右対称となるように、
ということのようです。
↓笄いろいろ
そしてついには出来上がった髪型に挿し易いよう、中央部分から二つに
別れるようになるものまで作られるようになりました(このセパレートタイプを
特に中差しとも呼ぶこともあります)。
現代では日本髪を結う機会すらも無くなってきましたので、現存するものだけを
見ても判らないのも無理はありませんが…。
現代で最も笄を活用されているのは、トットちゃんこと黒柳徹子さんでしょうが、
今後まとめ髪が流行っても、笄を使う髪型は難しいかもしれないですね。
かんざし屋 有限会社山口のサイトはこちら